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「小五郎さん?大丈夫ですか?やっぱり精神的に辛いですよね……。」
瞬きもしないで硬直してしまった桂の顔を三津が心配そうに覗き込んだ。
「辛い……。考えたくない……。」
何で手なんか貸したんだと言いたい。でも言えない。言える立場じゃない。
「私が辛い時も……手を貸してもらえるか?」
「私にお手伝い出来るなら。」 https://cutismedi.com.hk/promotion/15/%E8%82%89%E6%AF%92%E6%A1%BF%E8%8F%8C%E7%B4%A0_680
桂が何を意として言っているのか分かってない三津は任せてと言うから桂はより複雑な顔をする。
「三津にしか出来ないと言うかしてもらいたくないと言うか……。」
「はい,出来る事は頑張ります。」
だから何でも本音で話してねと明るく言ってくれる三津に桂は何度も頷いた。
そして疑惑の手で握ってもらったおにぎりを持って阿弥陀寺を出た。
その後高杉達も握り飯と水を手に山へ入って行った。三津達はそれを見送ってから洗濯に取りかかった。
「そう言えば三津さん本当に入江さんのご本尊握ったそ?」
「は!?文さん朝から何言って!?」
文の単刀直入な発言に三津は思わず声を荒げた。
「あれ?入江さんの嘘なん?何か二人の雰囲気おかしかったけぇ昨日三津さんが寝た後に入江さんに聞いたそ。そしたら……。」
「わぁー!わぁー!わぁー!言わないで!あの時はちょっと自分でもおかしかったんです!!何であんなんしたか分からないんですぅ!!」
「あら,本当やったんや。別に抱かれたら良かったやん。桂様は文句言える立場やないし,それに手ぇ貸しただけやからそれぐらい……。」
三津は顔を真っ赤にして口を一文字にして手に持ってる着物を必死に洗った。
「三津さん純粋やなぁ。フサちゃんなんか子供さえ出来たら夫なんか要らんって言っとるのに。三津さんもどっちかの種だけもらったらいいそっちゃ。」
「種……。」
もっと他に言い方は……と思ったがわやな先生の妹だしなと自分で自分に言い聞かせて納得させた。
そしてこの歳でそんな発言をするフサもやっぱり吉田の妹だなと思った。
「でもこっち来て改めて桂様がどれだけ三津さん好きなんかは分かったわ。本当に今まで相手してきた女に対してとは熱量が違うと思うそ。」
「そうねぇ。また浮気疑われんようみんなにも証明してもらえる様に桶屋さん家に帰らんと広間で刀抱えて座って寝ちょったしねぇ。」
セツと文は戦国時代の武将かと笑ったが,三津はそのせいで熟睡出来てなかったのだと思い胸が痛かった。
桂をそこまで追い詰めて自分はどうしたいんだと顔を顰めた。自分で自分の考えが分からない。夕刻になると山に入って行った男達が下山して来た。
セツは汚いまま上がるな先に風呂だと順番に土まみれの男達を湯浴みへと促した。
高杉と入江はじゃあ水浴びるわと井戸で着物の上から豪快に水を被り,そんなずぶ濡れで上げるかと怒鳴られた。
「もぉ,どこの子供ですか。」
三津は二人の着替えと手拭いを用意して縁側に腰掛けた。ずぶ濡れの着物を脱ぎ捨てて下帯一枚になった姿はなるべく見ないように視線はよそに向けた。
「九一とおると童心に返るそっちゃ。」
「いや高杉さんは常に子供でしょ。」
「あ?こんな立派なモンぶら下げとる童がどこにおる。」
高杉はわざと三津の視線の先に回り込んで下帯を取っ払った。
三津は一瞬頭の中が真っ白になって数秒間を置いてから我に返った。
「いっ!ぎゃあぁぁぁぁ!!阿呆ーーー!!!」
絶叫して廊下を走っていると,
「どした!?」
その絶叫を聞きつけた湯上がりの赤禰にぶつかった。そして何事だと文とフサも駆け付けた。
「高杉さんに粗末な高杉さん見せられたぁ!!!」
それを聞いた赤禰と文はとうとうやりやがったなと目元を引き攣らせた。